宮前区は、市内では豊かな緑が残る環境にあります。農あるまちづくり部会は、この環境を生かし、区民の生活と調和する豊かな地域を象徴する「まちづくり」を目指し活動をしています。その活動のひとつとして「農フォーラム2023~このまちで育む、農あるくらし~」を3月4日宮前区区役所大会議室で開催しました。高校生から70代まで50名を超える多世代が集まりました。
農フォーラムは2018年にスタートし、今回は5回目。2020年からはWithコロナが続く中で働き方が大きく変わり、それに伴う「農ある暮らし」の関係に目をむけてきました。
そこで今回のフォーラムは、「農あるくらし」を歩んでいる、歩み始めた人達の現場の声に耳を傾けてみることにしました。
来賓としてセレサ川崎農業協同組合代表理事副組合長大川護氏と、川崎市経済労働局都市農業振興センター所長齊藤徳明氏を迎え、南昭子宮前区長の挨拶で始まり、5人が事例発表後、意見交換・質疑応答を行いました。
●事例発表「農に携わる人々からの発信」
◇ 髙橋 眞人 さん
宮前区水沢にある設立10年を迎えた福祉施設が運営する「はぐるま稗原農園」の農園サポーターとして週に
2日活動。特に公園の落ち葉や生ごみからの堆肥づくりに関心をもちトライアルを重ねている。
◇ 中島 桃子 さん
コロナをきっかけに、暮らし方を模索中に当部会が運営する「農家巡りウォーキング」に参加したことから、2020年民間のレンタル農園で野菜づくりを始めた。2022年末には生ごみ堆肥を使い野菜づくりをする「野菜だいすきファーム」にも参加している。畑作業は心を穏やかにしてくれる。野菜づくりの失敗をくりかえすことから野菜の立場になって考える「野菜時間」に気がつき、今は「畑を楽しむこと」に邁進中。
◇ 河井 明子 さん
1999年に「ガーデンニングを道具にコミュニティづくり」を理念に設立された『宮前ガーデング倶楽部』代表。区内では宮崎台駅前、区役所など数か所の花壇を運営している。宮崎台小学校で環境学習のゲストティチャーを務め、農フォーラムでは第1回目より会場装飾を担当している。
◇ 秋元 友里 さん
高津区の農家に生まれ、学生時代は都市農業からまちづくりを学び修士を取得した。
学生時代から港区青山の国連大学前で開催されているファーマーズマーケットの運営に関わり、全国の農家とつながり、日本の農業の抱える課題を目の当たりにした。最近は、庭師としての修行を開始し、庭づくりから緑と農のまちづくりを考えている。
川崎市で農業振興計画推進委員を3年間務めた。実家は、敷地内に加工所を作り「露地ノ実」というブランド
を立ち上げ、ジャムをセレサモスで販売している。
◇ 横山 紀恵子 さん
宮前区犬蔵で無農薬栽培、動物性肥料も使わない農業を60年続けている。野菜、梅、ブルーベリー、レモン、
栗などを栽培し、梅干し、ジャムなど農産加工も。大地の力は人間には作れない。まちとつながりながら農業
を続けていきたい。野菜などは犬蔵にあるマルヨコファームで購入できる。販売日、時間はインスタグラムで
発信している。
●意見交換
5人の様々な立場からの農に関わる現場の声はどれも興味深く、予定時間を超えても参加者のじっと聞き入る姿
に「農ある暮らし」への関心の高さを感じました。
意見交換では、高校生から「私は今、農業に関心があるがこれからどうやって学んでいけばよいか」、生協理事
からは「有機野菜を学校給食に導入できないだろうか」などの質問が出て意見交換を行いました。
フォーラム終了後は、発表者と参加者の交流が盛んにおこなわれました。
*会場には、2011年10月に始まり、2023年11月で23回目を実施した「農家巡りウォーキング」のコース紹介
パネルの展示と宮前区まちづくり協議会主催のフォトコンテストに応募された宮前区の農に関連する写真を
紹介しました。